百冊001:ゲームオーバー

ゲーム・オーバー―任天堂帝国を築いた男たち
デヴィッド・シェフ , 篠原 慎発売日 1993/07
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私のお薦め度 ★★★★★ ★★★★(9)

とても面白い本で、かなり夢中で読みました。
前半の山内溥の生い立ちから、TVゲーム市場へ入っていくところ、宮本茂などの才能を開かせるきっかけとなるところなど非常に興味深い話が詰まっています。やはり、この会社は山内の思いで動いてきたことがはっきりわかります。

後半アメリカでの展開がありますが、これは一般的なマーケティング話です。山内の娘婿荒川の話になりますが、それほど驚く部分はありません。アメリカでの成功が現在の任天堂を作ったのでしょうが、私にはだれがやってもある程度成功したように思います。

山内も荒川も2002年1月に引退しましたが、これはどういう意味があるのでしょう。この二人ともゲームそのものには興味がないところが共通していて、やはりビジネスの方が好きなんでしょう。まあビジネスもリアルのゲームですから、ゲーム好きでないとはいいませんが。

それにしてもアメリカのノンフィクションは、取材が徹底しているものが多いですね。この本も取材が徹底していて、細部が実に良く書かれているので感心します。前に読んだ「ビル・ゲイツ」も非常に細かいところまで書かれていてびっくりしましたが、これもすごいですね。山内邸の話から、父親のこと、娘のこと、良く調べたなと思います。やはり山内のいない任天堂は、迫力がなくなった印象があります。

本当はファミコンという機械を使って、まったく違ったビジネスをしたかったのでしょう。そういう異質な人間なのに、ゲーム以外はやらないといっていたところが面白い。山内を継いだ現在の社長は、ゲームの枠から飛び出すことはまず考えないでしょう。しかし、山内が考えていたことは、もっと広かったように思います。PlayStationがPSXになるような展開を頭の中で描いていたのでしょうが、所詮遊びを作る会社、メディアを支配するのはちょっと難しかったと思います。

2003年10月13日 | Posted in 電脳:百冊 | タグ: No Comments » 

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