脳>知性と14番目の月
知性とは、私の定義では「変化に適応する能力」のことである。つまり蓄積された知識の中から何かを探し出す能力ではなく、新たに生じた変化に対して、回答がないところで何かを選択する、あるいは新しいものを作り出す能力である。世界は常に変わり続けるから、知性はその微妙な変化に気づき、新たな対応を考え出す。例えば、野球の世界における投手と打者の関係などが典型だろう。イチローは毎年フォームを微妙に変えている。投手の変化に対して、常に敏感でその対処方法を考えている。将棋の世界も同じだろう。羽生は、10代、20代、30代で将棋のスタイルを変えている。若いころは、ひたすら読みまくる。しかし、今はそれほど深く読まないし、そもそも読む手を限定している。自分の知識や直感によって、ひたすら読むことができなくなってきた自分の脳の変化を、直感や知識で補うのである。
ここで重要なことは、完成することなく常に完成する前で止めておくことではないだろうか。
荒井由実の曲で「14番目の月」というのがある。
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14番目の月
作詞 : 荒井由実
作曲 : 荒井由実
あなたの気持が読みきれないもどかしさ
だから ときめくの
愛の告白をしたら最後 そのとたん
終わりが 見える
um… IWANUGA HANA
その先は言わないで
つぎの夜から 欠ける満月より
14番目の月が いちばん好き
気軽なジョークが とぎれないようにしてね
沈黙がこわい
月影の道で 急に車止めないで
ドキドキするわ
um… YANAGI NI KAZE
なにげなく かわすけど
つぎの夜から 欠ける満月より
14番目の月が いちばん好き
つぎの夜から 欠ける満月より
14番目の月が いちばん好き
これは、シンガーソングライターとしてスタイルを確立してしまった荒井由実が、完成しないことにより、創作意欲を持続させる、ということの決意表明のようなものだと私は思っています。
完成しないことにより、彼女は長く創作意欲を持続してきました。完成せずに、日々おこる変化に対して調整していく機能、これが知性だと私は思います。
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