百冊006:マイクロソフト シークレット

マイクロソフト・シークレット―勝ち続ける驚異の経営 (上)
マイケル・A・クスマノ, リチャード・W・セルビー, 山岡 洋一

発売日 1996/01
売り上げランキング 271,863

Amazonで詳しく見る4532144477

マイクロソフト・シークレット―勝ち続ける驚異の経営 (下)
マイケル・A・クスマノ, リチャード・W・セルビー, 山岡 洋一

発売日 1996/01
売り上げランキング 311,918

Amazonで詳しく見る4532144485

お奨め度:★★★★★ ★★★★★(10)
読み返してみて、改めてすごい本だと思いました。 マイクロソフトが嫌いな人間は非常に多いですが、何故なんでしょうか?彼らだけがソフトウェアで独占的に金儲けしているからでしょうか。オープンソースの流れは、その対抗ということなのでしょうか?

しかし、この本を読めばマイクロソフトがなぜ独占的にソフトで金儲けができたのか、わかると思います。マイクロソフトは、今までにない組織、製品を自らの想像力で作り上げたのです。その秘密がこの本にあります。もちろん、この本は1995年までにマイクロソフトが作り上げた文化を集約したものであり、それから9年もたっているのですから、内容は既に陳腐化しています。現在の製品の考え方、開発の方法は、さらに進化しています。マイクロソフトは外部環境の変化に敏感で、どんどん変わっているのです。

この本では、マイクロソフトの人材採用、人事、市場参入、開発プロセス、リリース、改善などに関して非常に綿密な調査を行っています。私がこの中で一番すごいと感じたのは、ソフトを半完成品の状態で出して、市場に早く参入し、アップグレードでお金を取るという方法を作り出したことです。これは、ソフトウェア市場におけるマイクロソフトが生み出した、最も画期的な考え方です。

みなさんは、既にこの考え方に毒されているので、当たり前のように感じているかもしれません。しかし、1980年代では、それは常識ではなかったのです。ソフトは完成品を出して、もしバグや改善があったら、それは無償で提供する、今でもドライバなどでは通用する考え方です。つまり、あるジャンルのソフトを作る際、それは完全な仕様(これ自体無理ではありますが)さえ決めてしまえば、後は完成してバグをとるだけ、というつまらない仕事になってしまう、という考え方を根底から変えてくれたのです。

ソフトウェアは、一つの製品が完成したとしても、周りの環境が変わることによって、また新たに作り直さなければならない。ソフトウェア開発者の仕事がなくならないことを教えてくれたのです。必要もないのに、無理やり必要を作り出して、2年ごとにWord95, Word97, Word98, Word2000,WordXP, Word2003(最近は毎年?)と出してきたのです。これは、一度金を払ってWordの機能を手に入れたのにも関わらず、また何年かすると新しいバージョンを買う必要がでてくるのです。これが、マイクロソフトの最大の発明でしょう。アクティベーションのようなつまらないことはやめて、1年ごとに新しいものを出した方が効果あるように思います。

エイベックスもコピーコントロールをやめるようです。基本的にコピーを制御する方法は、なくなっていくと思います。思いっきり簡単にコピーをできて、少額課金ができる方法しか残らないでしょう。あるいは、コピーでお金をとらないで、別の方法でお金をとることを考えるでしょう。

2004年09月20日 | Posted in 電脳:百冊 | タグ: No Comments » 

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください