本>謎とき村上春樹 石原千秋著
どうしてもこういう本があると手にとってしまうクセがある。
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今でも、最初の三部作と「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」「ノルウェイの森」までの村上春樹は、読むとこわいです。つまり、読むと妄想がとてつもなく広がるんです。
さらに後で気がついたのですが、石原千秋という名前はどこかで見た記憶があるなと思っていたのですが、『秘伝 中学入試国語読解法』の著者でした。子供が中学受験をするときに、この本を読んで、とても緻密な考え方をする人だと思っていました。それが、村上春樹というキーワードでまためぐりあうとは思っても見ませんでした。
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私は村上春樹の熱心な読者ではありますが、この本にあるような「書かれなかった物語」を読み取るという視点がありませんでした。従って、鼠の恋人の話とか、ホモソーシャルな女性委譲?というような謎ときは、新鮮ではありますが、面白いねという感想以外ありません。
一番私が反応したのは、これらの小説によって村上春樹が神話化したというところです。70年代私が好んで読んでいたメタフィクションが、村上春樹の目論見の中にあったはずだし、また村上春樹の小説が互いにリンクして一つの世界、俗にいうムラカミワールドですね、を作り神話化する、これは本当に私の中の実感としてあります。
この本の最後は、「ノルウェイの森」の謎ときですが、ちょっとイタイ感じです。この本を読んだ後、後遺症が残りましたが、やはり面白いのでお勧めしておきます。
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