2019年版自宅録画サーバーに関連する法律
2019年版自宅録画サーバーに関連する法律を調査した。
以下の3つのサイトの情報を基に、検討を行った。
電子政府の総合窓口の「著作権法」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048&openerCode=1
文化庁のホームページの「著作権情報」
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
B-CASカード使用許諾契約約款
https://www.b-cas.co.jp/support/bcascard/public/contract/digi.html
2019年版自宅録画サーバーと法的課題
著作権法の中で、以下の2点について詳しく検討を行った。
(1)第30条 私的使用のための複製
(2)第23条 公衆送信権、送信可能化権
上記と関連する2019年版自宅録画サーバーの法的課題ポイントは、以下の4点である。
この4点に関して、刑事責任、民事責任について調べた結果は、以下の通りである。
項目 | 刑事責任 | 民事責任 | 備考 |
---|---|---|---|
① 受信したストリームを B-CASカードを使ってデスクランブルし、 MPEG2-TSファイルを保存する。 | 問題なし | B-CASカード使用許諾契約 の第8条に違反している。 | 技術的保護手段を回避しての複製ではないので、 法律で制限されることはない。 B-CASカードを使ってのデスクランブルは、 TVが毎日行っている通常の処理である。 |
② MPEG2-TSファイルを MP4ファイルにトランスコードする。 | 問題なし | 問題なし | 技術的保護手段を回避しての複製ではないので、 法律で制限されることはない。 |
③ PLEX media serverを 使い、家庭内LANの 端末で再生する。 | 問題なし | 問題なし | 家庭内での視聴には、 法律で制限されることはない。 |
④ PLEX media serverを 使い、家庭外の端末 で再生する。 | 特定少数であれば、問題なし | 特定少数であれば、問題なし | 公衆送信権が関連する。 公衆とは、不特定多数、特定多数を含む。 従って、特定少数の場合は、許諾される。 家族・友人合わせて10名以下であれば、 常識的に考えて、特定少数といえるだろう。 |
まとめると、以下の通りとなる。
(1)刑事責任
特定少数へのストリーミング配信を守れば、刑事責任を問われることはない。
(2)民事責任
廃棄したTV等のB-CASカードを使う場合でも、B-CASカード使用許諾契約の第8条の「第1条のカードの使用目的に反する機器(例えば著作権保護に対応していない機器)に、このカードを使用することはできません。」に違反している。
(B-CAS社が損害賠償を請求する可能性があるが、具体的な損害内容が見つけられない。)
2019年版自宅録画サーバー関連製品の現状
2019年版自宅録画サーバーと類似する機能のサーバーソフトと使用しているTVチューナーカードについて、調査した。
商品 | 発売時期 | 現状 | 備考 |
---|---|---|---|
foltia Anime Locker | 2011年12月6日 Vector PC Shopで、 Version 1.0がリリース | 最新版は、 2017年10月28日 発売のVersion 6.0 2019年9月現在も 販売継続。 | Vector PC Shopで プロレジ大賞受賞。 (2016下期、 2017上期、下期) |
PLEX チューナーカード | 2010年6月 USB接続 TVチューナー PX-S3Uを発売 | 最新版は、 2019年1月発売の PX-MLT5PE。 2019年9月現在も 6種類を販売継続。 | 2019年9月現在、 Amazonで購入可能。 |
両製品とも約8年以上販売を継続していることから、違法性がないことは実証されている。
従って、2019年版自宅録画サーバーも、同様に違法性がないと考えられる。
参考(著作権の一部)
第23条 公衆送信権、送信可能化権
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
(昭六一法六四・見出し1項2項一部改正、平九法八六・見出し全改1項2項一部改正)
第30条 私的使用のための複製
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
(昭五九法四六・一部改正、平四法一〇六・1項一部改正2項追加、平十一法七七・1項柱書一部改正一号二号追加、平二十一法五三・1項三号追加、平二四法四三・1項二号一部改正)
第119条 罰則
(罰則)
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行った者、同条第四項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第五項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第六項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第四項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
3 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、録音録画有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(昭五九法四六・全改、平四法一〇六・各号一部改正、平八法一一七・柱書一部改正、平十一法七七・一号二号一部改正、平十四法七二・一号一部改正、平十六法九二・柱書一号一部改正、平十八法一二一・全改、平二四法四三・1項一部改正3項追加、平二八法百八・1項2項一号3項一部改正)
参考(B-CASカード使用許諾契約約款の一部)
第8条(禁止事項)
第1条のカードの使用目的に反する機器(例えば著作権保護に対応していない機器)に、このカードを使用することはできません。
このカードを使用して、BSデジタル放送や110度CSデジタル放送等の有料放送の視聴契約をすることはできません。
カードの複製、分解、改造、変造若しくは改ざん、またはカードの内部に記録されている情報の複製若しくは翻案等、カードの機能に影響を与え、またはカードに利用されている知的財産権の侵害に繋がる恐れのある行為を行うことはできません。
カードを日本国外に輸出または持ち出すことはできません。
第7条に定める場合を除き、カードをレンタル、リース、賃貸または譲渡することはできません。
第9条(損害賠償)
お客様が第8条に違反する行為を行い当社に損害を与えた場合、当社は、お客様に対し損害の賠償を請求することがあります。
コメントを残す