本:目利きーシリコンバレーの入門書
目利き―シリコンバレーのスター経営者たちが最も信頼する日本人 桐山 秀樹 日経BP社 1999-12 |
とても良くまとまったシリコンバレーの入門書なので、百冊に加えようかと思ったのですが、一人の歴史を追ったものではなく、1999年のシリコンバレーを切り取ったような本なので、陳腐化も激しいと思い、ここで紹介することにした。
もう一つこの本の弱いところは、引用が多いところだろうか。最初のシリコンバレーの成立などは、「シリコンバレーフィーバー」などに拠っている。もちろん、この本の売りはCTCの佐武さんという目利きを利用して、シリコンバレーのリーダーたちと直接話をして、まとめたところにある。しかし、やはり数ヶ月でまとめた内容には、本当の意味での深さはない。一度のヒヤリングでは、本人の都合のいいところしか見えてこないからである。
「サン」「オラクル」「シスコシステムズ」「シーベル」「ピクサー」「ブロードビジョン」「マリンバ」「サイベース」「エンタープライズリンク」「フォーンドットコム」という会社のうち2社(マリンバとフォーンドットコム)を除いて、現在も存在している。1999年の時点で、ファットサーバー・シンクライアントという戦略を佐武さんが打ち出しているが、2005年にその具体化が進展していることを考えると、かなり正しい予測をしていることに驚く。
佐武さんがシリコンバレーの経営者とうまくつきあえたのも、日本の顧客をしっかりつかまえているからだろう。しかもサポートも引き受ける。このCTCというのは、非常にうまい位置でビジネスを行っている。2000年以降のデータをサイトで見ると、2002年には約3500億円の売り上げがある。その後売り上げは落ちているが、ネットバブルがはじけただけで利益は減っていない。非常に健全な発展をしている。
1点だけ気になったのは、富士通の池田敏康というのは、池田敏雄の間違いだろう。
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