本:2010年の日本 雇用社会から起業社会へ
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サブタイトルの「雇用社会から起業社会へ」に惹かれて、読んでみました。団塊のリタイア、フリーター・ニート、ユビキタス、情報家電など、今後5年の中でキーワードとなるものを解説し、最後に起業社会を予測しています。かなり著者の願望が含まれているとは思いますが、起業がしやすくなることは間違いないようです。
私自身、雇用というものが主体性をそぐもので、あまり好きではありません。企業内にいるにもかかわらず、仕事を与えられていると感じたことはほとんどありません。ある範囲の中で、いつも自分から新しいものを提案し、作り出してきたからですが、周りを見ると与えられた仕事をこなすだけの人が多いこと。
しかも、自分の仕事の範囲を決めてしまい、そこから出ることをしない人が多い。雇用社会の欠点は、この雇われているという感覚、仕事は与えられるものという考え方を蔓延させたところにあります。
企業の中にいても、自ら仕事を作り出している人たちもいます。その場合には雇われている感覚はほとんどなく、自分自身が経営しているように感じていると思います。そういう人は退職しても、仕事を続けることができます。しかし、与えられた仕事をこなしてきた人は、退職すると何もできなくなってしまいます。
果たしてこの本の著者のいうような、団塊世代から起業社会が生まれるか、仕事を作り出してきた人がどのくらいの割合でいたかにかかっているでしょう。私はあまり期待してはいませんが、1000万人という退職者の数からすれば、割合はともかく、絶対数が増えることは間違いないでしょう。
最後の方で、起業はカリスマである必要はなく、チームで補完しながらやれば誰でもできる、というような説明がでてきます。どうも、こういう説明は、団塊リタイヤ組みへのエールでしかなく、実態はそんな甘いものではないと思います。ただし、いろいろ起業がしやすい条件はどんどん整ってくるので、それ自体は楽しみです。
面白いと思ったのは、昔は雇用者は少なかったということです。1950年ころは雇用者は約40%、自営が26%、家族経営が34%でした.それが、2000年の時点で雇用者83%、自営11%、家族経営6%になっているということです。家業を継ぐことが少なくなることはわかるのですが、自営も減っています。社会を再編成し、親に縛られることなく、仕事を個人で選べるようになったのはいいのですが、雇われるという中では、本当に仕事が選べていないように思います。
社会の再編成の中で大企業が出現し雇用者の分業体制というものが現在確立したように思います。今後はこれが分解して、超分散企業となり、自営が圧倒的に増えていくと予測しますが、どうでしょうか。
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