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多くの人の興味は、インターネットやウェブがどう進化するかではなく、社会や人間にどう影響を与えるかだろう。

ウェブ人間論
梅田 望夫
新潮社
2006-12-14
定価 ¥ 714
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深掘りしたメッセージを期待する
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現在は、まだまだインターネットもウェブも世の中に浸透し始めたレベルであり、社会や人間への影響はそれほど大きくない。この本では、いろいろな話題を語っているためまとまりに欠けるが、対談者の熱気のようなものは伝わってくる。


主な話題として、①人のつながりの変化、②匿名性、③著作権、④今後の予測 などが取り上げられている。ここでは、人のつながりに絞って紹介してみたい。

「情報発信のブログ、日常雑記のブログ」
大きく分けるとブログは、この二つに分かれる。前者の効用は誰でもわかるし、コメントやトラックバックがついて、コミュニケーションが広がっていく。それに比較して、後者は何なのだろう。単に誰でも見える壁に落書きしたようなものだろうか。実際には、匿名のブログなどであっても、SNSからリンクするなどして、友達や親しい人に向けて、自分の意見を述べる場なのかもしれない。平野啓一郎は、この本の中で、ブログを書く人の意識を以下の5つに分類している。
①実名で書き、有益な情報交換があるもの。
②分かり合える人たちの中の気楽な交流の場。
③日記のたぐい。
④本音を語る独白的なブログ
⑤妄想とか空想のはけ口として、現実の自分とはかけ離れた人格でのブログ
こう分類されると、⑤が一番面白そうとか思ってしまいますが、これを見つけるのはけっこう難しいかもしれません。私が良く見ているのは、①か②が多い。女性が書いているものの方が個人的には面白い。例えば、WADA-blogとか、みぽりんのすっぴん日記とか好みです。こういう人たちに共通するのは、③の日記のたぐいに見せて、実は非常に実用的な商品の紹介になっていることです。レビューブロガーです。①と②の要素も兼ねています。そしてキュート。

話を戻すと、やはり⑤が気になります。私は見たことありませんが、ネットの中だけの人格で、エキセントリックな記述、見たくないけど見てみたい、そういうもんなんでしょうね。

「出会いの形が変わる」
これは、仕事仲間との出会い、共通する趣味人の出会い、そして恋愛対象としての出会い、いろいろあると思います。この機会が格段に増える。1986年にパソコン通信が始まったときに、身をもって感じたことです。パソコン通信がない時代では、長い付き合いというのは、大学の仲間とか、会社の同僚とか限られてしまうのが、普通。それが、知り合うこともなかった人たちとの交流、そしてオフラインミーティング。そういう形での出会いが、会社だけの付き合いから人間の幅を広げるのに役に立った(かは疑問だが・・・)

パソコン通信での交流はそれなりに続いたのだが、1994年にインターネットが商用になってから、下火になっていった。ニフティのフォーラムもつい最近終了したが、インターネットの影響によるものだ。ただし、ずっと不思議に思っているのは、パソコン通信の時の非常に密な関係が、インターネットでは実現されていないことである。単なる仕組みの問題なのか、その場に所属した人間関係なのか、いまだわからないところがある。もちろん、パソコン通信といっても、私が入っていたB-NETというのは、かなり特殊な場ではあった。職業も年齢もバラエティに富んでいるメンバ構成で、お互いにオフミーティングで顔を知っており、その中心人物の事務所が飯田橋にあって、溜り場になっていた。そして、小説に関して熱気のある議論。リアル、バーチャルが混在して、独特な場を形成していたのだ。今インターネットでもいろいろな仕組みがあり、似たようなコミュニケーションが可能になっている。一番近いのはSNSの中のコミュニティである。ただし、リアルの場と連動していないので、かつてのような熱気は感じない。

やはり、リアルの溜り場で、週に一度くらいface-to-faceで話ができて、さらにネットで共通の趣味で議論ができる。これがあると盛り上がるように思う。こういう場が仮にあったとして、そこで使えるアイディアをずっと暖めている。それは、仮に名前をつければ、Serendipity-Badge。クリップで胸につけられるような小さなもの。携帯電話に組み込めるソフトでもいいかもしれない。ネット上に自分のプロファイルを登録する仕組みと連動して動作する。近くに同じbadgeを持った人間が近づくと反応して、無線ネットを通じてアラートがあがる。近づいてきた人間のプロファイルとmatch-makeを行い、ある条件判断の元、badgeに接近遭遇を通知する。例えば、match-makeしたbadgeをもった人間が近づくと、badgeが激しくバイブするとか。技術的に解決しなければならないことは、多々あるが、これができれば革命的ではないだろうか。偶然の出会いを促進するデバイス。

結局本の紹介はできませんでした。本をだしにして、自分のアイディアを語ってしまいました。

2007年04月07日 | Posted in | | No Comments » 

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