本:21世紀日本の情報戦略
21世紀日本の情報戦略 坂村 健 発売日 2002/03 |
お勧め度:★★★★★ ★★★★(9)
昔「電脳建築学」という本を読んで以来、久しぶりの坂村健さんです。
この人のコンピュータへの思い入れというのは、中途半端ではありません。技術的なレベルだけでなく、
ビジネスの領域まで深く踏み込んでいることが、この人の特徴でしょう。ここまで、ビジネスに関する
情報に詳しい人もいないのではないかと思います。大学教授でありながら、学問に閉じておらず、
社会的な影響、コンピュータで社会を良い方向に変えられるという使命感を感じます。
第1章は米国のITバブル崩壊の分析、第2章は、米国と日本の対比、第3章では日本の戦略を述べています。これだけ米国のITバブルについて明快に説明した本を知りません。こういう現状認識ができているからこそ、次に何をなすべきか、方向性が出てくるのでしょう。
ものを作り出す人間とは、現状に満足できず、探したけれども自分の欲しいものが見つからないので、では自分で作ってみようとなるのだと思います。
この本の中で語られる大きな流れとしては、PCからユビキタス、それに伴う専用ハードウェアとその小型化でしょう。どうもこれからは、また日本の時代がくるのかもしれません。新しい流れを米国が作り出し、それをコモディティ化するのは日本、そしてアジア諸国が生産するようになる。コンピュータにおけるこの流れがいよいよ日本が主導するステージに移行しているのでしょう。
SFの紹介があったり、TCP/IPがデファクトになった理由の説明があったり、著作権に関するネットワーク上の話があったり、ほとんどの意見が私の見方と一致していることも不思議ですが、とても面白く読めました。
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