2018年版最適化「Chinachu + Plex + PX-Q3PE4」on CentOS 7.4
今まで、PT3を使った録画サーバーの構築について報告を行ってきた。しかし、2018年10月現在、PT3の入手は困難であり、手軽に録画サーバーを作成できない。
そこで、PLEX社製TVチューナーを使って、最もローコストで安定した録画サーバーを構築してみた。
パーツとコスト
今回集めたパーツで組み立て、性能を測定してみたところ、録画サーバーとして十分であることがわかった。つまり、今までがオーバースペックであり、今回の録画サーバーでコストパフォーマンスの最適化が実現できた。
No. | カテゴリ | 品名 | 個数 | メーカー | 税込価格 Amazon 2018年10月13日現在 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ケース | Versa H17 | 1 | Thermaltake | 3,230円 |
2 | 電源 | 80 PLUS 400W ATX電源 | 1 | 玄人志向 | 3,357円 |
3 | マザーボード | H110M-A | 1 | ASUS | 6,000円 |
4 | CPU | Pentium G4500 | 1 | intel | 16,867円 |
5 | メモリ | DDR4 PC4-19200 4GB | 2 | CFD | 9,480円 |
6 | チューナーカード | PX-Q3PE4 | 1 | PLEX | 24,100円 |
7 | SSD(240GB) | CSSD-S6T240NMG3V | 1 | CFD | 8,980円 |
8 | HDD(500GB) | Travelstar 500GB | 1 | HGST | 5,054円 |
9 | HDD(3TB) | ST3000DM007/A | 1 | Seagate | 6,781円 |
10 | カードリーダー | SCR3310/v2.0 | 1 | SCR | 1,780円 |
11 | SATAケーブル | 1 | 200円 | ||
12 | 分配器 | 2分配 | 1 | 999円 | |
13 | アンテナケーブル | 30cm×2 必要な長さ×1 | 3 |
カードリーダーまでの合計は、85,629円。(SATA3ケーブル1本、分配器1個、アンテナケーブル3本は別途入手)
上記価格の中で、Pentium G4500だけは、実勢価格と大きく差がある。(新品で11,000円、中古で5000円が2018年10月の相場)
中古でPentium G4500が入手できれば、75,000円程度で作成可能だろう。
パーツ選択のポイント
今回のパーツ選択で考えたことは、2点ある。
- ストレージの選択について
今回の録画サーバーには、最低3台のストレージが必要と考えている。それは、「システム用」「ts保存用」「mp4保存用」の3台である。- 「システム用」は、SSDを使う。これは、インストール時間の短縮とシステムの安定性のために必要。ただし、メーカーによって、稼働時温度にばらつきがある。3D NANDの方が稼働温度が低く望ましい。東芝3D NANDは、稼働温度が30℃台でとても良い。
- 「ts保存用」は、2.5インチHDDを使う。これは、8番組同時録画でも十分間に合うし、一時的な保存なので100GB程度以上あればいい。2.5インチHDDは稼働時の温度が低いことも適している。待機時30℃、フル稼働でも40℃前後と望ましい挙動をする。
- 「mp4保存用」は、3.5インチHDDを使う。これは、永久保存用なので大容量低価格の必要がある。8TB~12TBと大容量があり、ストレージ単価も最も低い。
- CPUの選択について
コストパフォーマンスを考えて、i5-6500かi3-6100が最適と考えていた。性能を調べた結果、i3-6100とi5-6500の差がほとんどなかったので、i3-6100が最適と判断した。しかし、今回Pentium G4500を使ってみて、この録画サーバーでの最適CPUはこれだと思った。なぜなら十分な機能とその価格の安さである。Intel quick sync videoは、同じGPUだから性能差はないと思った。いくらかCPUによる性能差はあるが、ベースのエンコーディング性能は同じなので、思いのほか性能差がないことが理解できる。
パーツ一覧
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[amazonjs asin=”B010Q2VN98″ locale=”JP” title=”玄人志向 STANDARDシリーズ 80 PLUS 400W ATX電源 KRPW-L5-400W/80+”]
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マザーボードは、H170-PLUSやH170-PROの方が便利。USB内部コネクタが2つあるので。
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CPUは、i3-6100やi5-6500の方がより余裕がある。
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録画サーバーの性能
今回録画サーバーを構築する際、懸念事項がいくつかあった。
- PLEXチューナーで録画する際に、libx264によるトランスコードでCPU負荷が100%となり、BS放送の録画にブロックノイズが発生していた。
- Pentium G4500は、2コア2スレッドで、qsvトランスコードの性能がi3-6100やi5-6500より落ちる。
しかし、実際に組み立てて性能を調べたところ、十分な性能があった。
- 8番組同時録画後のqsvトランスコードで、BS放送の録画にブロックノイズは発生しなかった。
(qsvトランスコードでは、CPU負荷が75%程度に収まった。)以下がPentium G4500のCPU負荷の状況。
(2コア2スレッドなので、最大200%。負荷の最大値151.36%)
比較のため、i5-6500のCPU負荷は以下の通り。
(4コア4スレッドなので、最大400%。負荷の最大値241.40%)
- qsvトランスコードの性能は6~7倍速で、i3-6100やi5-6500の8~9倍速には及ばないが、運用上十分な性能があった。
テストファイルでトランスコードの性能を調べた結果は、6.42倍速。[cuser@centos ffmpeg-3.4.2]$ ffmpeg -i sintel_trailer-1080p.mp4 -vcodec h264_qsv -init_hw_device qsv:hw out_qsv.mp4 ffmpeg version 3.4.2 Copyright (c) 2000-2018 the FFmpeg developers built with gcc 4.8.5 (GCC) 20150623 (Red Hat 4.8.5-16) frame= 73 fps=0.0 q=-0.0 size= 0kB time=00:00:03.07 bitrate= 0.1kbits/ frame= 143 fps=141 q=-0.0 size= 256kB time=00:00:05.97 bitrate= 351.2kbits/ frame= 209 fps=138 q=-0.0 size= 768kB time=00:00:08.74 bitrate= 719.3kbits/ frame= 298 fps=148 q=-0.0 size= 1280kB time=00:00:12.45 bitrate= 841.7kbits/ frame= 372 fps=147 q=-0.0 size= 1792kB time=00:00:15.53 bitrate= 945.3kbits/ frame= 451 fps=149 q=-0.0 size= 2048kB time=00:00:18.83 bitrate= 890.7kbits/ frame= 530 fps=150 q=-0.0 size= 2560kB time=00:00:22.12 bitrate= 948.0kbits/ frame= 600 fps=148 q=-0.0 size= 3072kB time=00:00:25.02 bitrate=1005.7kbits/ frame= 677 fps=149 q=-0.0 size= 3328kB time=00:00:28.26 bitrate= 964.5kbits/ frame= 752 fps=149 q=-0.0 size= 3840kB time=00:00:31.38 bitrate=1002.4kbits/ frame= 829 fps=149 q=-0.0 size= 4352kB time=00:00:34.58 bitrate=1031.0kbits/ frame= 905 fps=149 q=-0.0 size= 4864kB time=00:00:37.73 bitrate=1055.8kbits/ frame= 982 fps=150 q=-0.0 size= 5120kB time=00:00:40.93 bitrate=1024.5kbits/ frame= 1069 fps=151 q=-0.0 size= 5632kB time=00:00:44.56 bitrate=1035.3kbits/ frame= 1164 fps=154 q=-0.0 size= 6144kB time=00:00:48.51 bitrate=1037.5kbits/ frame= 1253 fps=154 q=-0.0 Lsize= 6969kB time=00:00:52.12 bitrate=1095.3kbits/s speed=6.42x video:6119kB audio:817kB subtitle:0kB other streams:0kB global headers:0kB muxing overhead: 0.479437% [aac @ 0x205b620] Qavg: 660.242
さらに、実際にchinachuの録画からトランスコードした結果では、7.47倍だった。
----------------------エンコードコマンド------------------ ./usr/bin/ffmpeg-qsv -y -i "./tv/アニメ ラディアン(1)「魔法使いの少年」[字][デ][181013-1635][26].ts" -vcodec h264_qsv -b:v 4M -maxrate 8M -init_hw_device qsv:hw -acodec aac -loglevel error "./temp/アニメ ラディアン(1)「魔法使いの少年」[字][デ][181013-1635][26].mp4" ----------------------エンコード開始---------------------- [mpeg2video @ 0x2e2e7a0] Invalid frame dimensions 0x0. Last message repeated 13 times [mpeg2video @ 0x2e56840] ac-tex damaged at 80 34 [mpeg2video @ 0x2e56840] Warning MVs not available [aac @ 0x2e4cd60] TYPE_FIL: Input buffer exhausted before END element found Error while decoding stream #0:1: Invalid data found when processing input ----------------------エンコード情報----------------------- 処理時間 = 201 秒 0時間3分21秒 録画時間 = 1503 秒 0時間25分3秒 エンコード速度 = 7.47 倍 入力ファイル = 2916276492 bytes 出力ファイル = 777861158 bytes 圧縮率 = 26.6700 % ----------------------エンコード終了------------------------
今までの結果をまとめると、以下の表になる。
第6世代CPU テストファイルのqsvトランスコード chinachuで録画したファイルのトランスコード例 備考 i5-6500 8.71 9.3 BS世界のドキュメンタリー i3-6100 7.83 7.84 美しい日本に会う旅 Pentium-G4500 6.42 7.47 アニメ ラディアン
qsvトランスコードの性能差は、CPUの価格差ほどはない。
組み立てる際の注意点が2つある。
- ストレージの配置がわかりにくい。以下の写真を参考に組み立ててほしい。
2.5インチのSSDとHDDは、PCケースの正面からみて右側に上下並べて装着する。3.5インチはわかりにくいが、見えているSSDの下の方に、上下に1台ずつ装着できる。設置用のゴムを3箇所ネジ止めする。以下にネジの位置を示す。
コネクタに近い方を2箇所ネジ止め。遠い方は1箇所ネジ止め。PCケースに装着する時は、ゴムの部分をはめ込んでスライドさせる。 - USB2.0のコネクタが、マザーボードに一つしかない。そのため、PLEX社製チューナーのUSBケーブルをつなげるために使う。PCケースの前面にあるUSB2.0のコネクタは使えない。
1点だけ解消できない問題がある。
- BSテレ東(BSジャパンから改称)が認識できない。(PLEX社製チューナーの問題というよりは、ソフトの問題かもしれない。)
最後に、構築の詳細に関しては、以下を参照のこと。
以上。
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