百冊011:アップル薄氷の500日
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お薦め度 ★★★★★ ★★★★(9)
この本は、ジョブスの不気味さを的確に表現した本として、非常に興味深い。
1996年2月~1997年7月の間、アップルCEOだったギル・アメリオが詳細に
語った、アップル業績回復の過程は、非常に地道なアプローチでした。ニッサンのカルロス・ゴーンと似ていますが、リストラ後の新製品や戦略を展開する前に、やめさせられてしまいました。
確かかにアップルの戦略は、ジョブスが作る方があっていると思います。アメリオにはその才能はないと思いますし、スカリーにもなかったと思います。それは、もって生まれたビジョンがあるかないかです。しかし、アメリオが経験するアップルでの出来事は、本当にもりだくさんです。一番大きい決定は、ネクストを取り込んだことです。ここで語られるガセーのBeとジョブスのNextの選択される過程は本当にスリリングです。今考えると、やはりNextを選択してよかったと思います。アメリオは良い決断をしたと思います。
アップルというのは、もともと営業利益などは非常に少ない会社なので、ちょっとこけるとすぐに赤字になります。やはり製造業だからです。マイクロソフトが売り上げの半分が営業利益になる会社とは訳が違うのです。業績回復といっても、それほどいい状態ではなく、何とか乗り切っているというレベルと思います。ジョブスの戦略も昔よりバランスが良くなってきたようには思います。
アメリオの話ですが、CEO就任前にジョブスがアメリオを訪問したり、Nextの売り込み、CEOからの引き摺り下ろしと、ほとんどジョブス大活躍の物語です。
最初にジョブスの不気味さと書きましたが、こうまでしてアップルのCEOに返り咲きたいと思ったのは、やはり創業者でありアップルのビジョンは自分以外に描けないという確信があるからでしょう。だから、手段は選ばない。
アップルが好きな人は、読んでおいた方がいいと思います。
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