本:アマゾンの秘密
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著者の松本さんは、ほぼ私と同い年。とても肩の力が抜けた、謙虚な人という印象が読後残っている。この本はアマゾンの日本立ち上げを扱っていて非常に興味深い。著者は少し第三者的な立場でアマゾンを見ているので、けっこう冷静に周りの状況を把握している。
日本の出版界の中ではどのように受け取られていたのか気になっていたが、意外に好意的に受け入れられていたことがわかる。現在1500円以上送料無料という条件は、再販制度があるから他の国よりやりやすい。
この本にそれほど目新しい発見はないけれど、日本法人の立ち上げ特有の諸問題が垣間見える。けっこう当たり前のことだが、私にとって発見というトピックがあった。つまりアマソンでは、データマイニングはいろいろ行っているのだろうが、個人の属性、デモグラフィックというらしいが、これは使っていないらしい。つまり、その個人の年齢、性別などをもとに、お勧めを表示するなどのことはしない。使うのはその個人の購買履歴だけらしい。確かにお勧めで出てくるのは、今までに買った本と傾向の似た本だし、この本を買った人はこんな本も買っているという情報などだ。確かにデモグラフィックな情報から類推した方が有効な商品というのは存在するが、こと本にいたっては価値観によって決まるので、あまりデモグラフィックな情報は有効ではないだろう。女性しか買わない本、中高年しか買わない本というのは存在するが、やはりその人が何に関心を持ち、どんな本を読み、どんな本を買っているか、という情報の方が確度は高いはずだ。私は、年齢や性別で好みを判断されるのは、特に嫌いなのだ。いつも新しいことが好きなのであって、それは人の価値観によって好みは異なる。人間は、価値観によって判断すべきであって、けっして年齢や性別ではない。
そういう意味では、アマゾンの書籍の購買情報というのは、稀に見る価値観のデータベースなのだ。ただし、私の場合本は買うものから既に借りるものに変わっている。したがって、図書館のデータベースを検索しなければ意味がない。図書館とアマゾンのデータベースを合体したとき、きっと面白い価値観のデータベースができあがることだろう。
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