本:日本オラクル伝
日本オラクル伝―データベース競争の覇者 | |
吉田 育代
ソフトバンクパブリッシング 1999-10 |
日本オラクルの90年代の発展を主に描いた本書は、外資系ソフト企業の成立から安定までの過程を記したものとして興味深い。主に佐野力社長の奇抜なアイディアが印象に残る。外資系の企業というのは、主に販売会社として設立され、ローカライズ、サポートで技術系も入社して企業の体裁ができてくるのが決まったパターン。
特に本書で面白いのは、競合である、サイベース、インフォミックス、ユニファイ、イングレスなどから、どうやって勝ち抜いてきたかである。どうも、技術ではなく、マーケット戦略や資金力による差のようだ。もちろん技術がなければ競争にならないが、ほぼ同じ技術力の場合、どこで差がつくかということ、そして一度導入してしまうと、人間関係や信頼関係というものは簡単に崩せない。そうしてRDBのデファクトが作られたことが、本書からみえてくる。
佐野さんという人はなかなか面白いけれど、会長になった後、今はどうなっているのだろう。Googleで調べてみたが、既に会長は引退したようだが、ニュースとしてでていない。白樺文学館の館長として2005年1月に挨拶がでているので生きてはいるのでしょうが、あまり近況がみえてきません。
しかし、日本オラクルの売上高もこの5年はほとんど変わらずで、ネットバブルがはじけたことを考慮すれば、それほど悪い業績ではありませんが、ある程度成長が鈍化している。これはSAP社の躍進も少なからず影響している。
著者の吉田さんは、丹念にインタビューを行い、特に前半の代理店が変わるあたりは、非常に貴重な記録である。最後はちょっと息切れの感じがしましたが、記述はかなり正確で破綻がありません。
これを読んで、やはりエリソンを読まなければ、と思いました。
コメントを残す