百冊025:イーロン・マスク
2020年代は、イーロン・マスクの時代
日本に住んでいると、イーロン・マスクの印象は薄い。GAFAMのような、日常的に利用するサービスを日本で提供していないことが理由だろう。さらに、筆者のような「宇宙」や「EV」のビジネス動向への関心が低い者にとっては、知る機会もほとんどなかった。
今回、ウォルター・アイザックソン著「イーロン・マスク」を読んで、彼のイメージは大きく変わった。筆者の知る限り、イーロン・マスクは最も優れた技術者であり、最も優れた経営者だろう。
SpaceX、Tesla、X(Twitter)などのCEOを兼務し、しかも業績を伸ばすことができる人間は、彼以外ありえない気がする。OpenAIの設立に関わるなど、生成AIにも最初から注目していた先見性のある経営者だ。
これらのことから、2020年代は間違いなく「イーロン・マスクの時代」になると筆者は考える。
GAFAMからMATANAへ
情報産業において、ワールドワイドに影響力を持つ企業は、従来「GAFAM」と呼ばれてきた。これは、以下の5社を指す。
- Amazon
- Facebook(現Meta)
- Apple
- Microsoft
しかし、2023年頃から、あるリサーチ会社が「MATANA」という新しい呼称を使い始めた。これは、以下の6社を指す。
- Microsoft
- Amazon
- Tesla
- Alphabet(Google)
- Nvidia
- Apple
この変化は、OpenAIが開発したChatGPTなどの生成AIによる影響が大きい。TeslaやNvidiaは、ディープラーニングによるAI技術を活用した製品やサービスを開発しており、情報産業における存在感を増している。
MATANAという新しい呼称は、情報産業におけるイーロン・マスクの影響力を示している。
異能な創業者
情報産業分野において、影響力のある創業者を調べてみた。
会社名 | 創業者 | 生年月日 | 創業年 |
Oracle | ラリー・エリソン | 1944年8月17日 | 1977年 |
Apple | スティーブ・ジョブズ | 1955年2月24日 | 1976年 |
Microsoft | ビル・ゲイツ | 1955年10月28日 | 1977年 |
Nvidia | ジェンスン・フアン | 1963年2月17日 | 1993年 |
Amazon | ジェフ・ベゾス | 1964年1月12日 | 1994年 |
Tesla | イーロン・マスク | 1971年6月28日 | 1999年(X.com) |
Alphabet | ラリー・ペイジ | 1973年3月26日 | 1998年(Google) |
Meta | マーク・ザッカーバーグ | 1984年5月14日 | 2004年(FaceBook) |
イーロン・マスクは、ソフトウェアやサービスだけでなく、ハードウェアにもこだわりを持っている点で、他の創業者と大きく異なっている。
彼は「EV」と「宇宙ロケット」の自社生産にこだわり、材料選択や製造工程においてもイノベーションを起こしている。
問題解決のアルゴリズム
イーロン・マスクは、以下の5つのステップを踏むことで、数々のプロジェクトを成功に導いている。
- すべての必要条件を問い直す
- 削れる部分やプロセスはすべて削る
- 簡素化と最適化を行う
- サイクルを加速する
- 自動化する
筆者もインターネットサービスを開発した際、これと似たプロセスを実行した。その結果、開発費用を3年で回収し、単独で黒字化を達成することができた。
イーロン・マスクは、このアルゴリズムを「EV」や「宇宙ロケット」などの開発にも適用し、数々の成果を上げている。彼の成功は、単なる才能や運ではなく、このアルゴリズムに基づいた戦略的なアプローチによるものと言えるでしょう。
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