本:薄型テレビ最終戦争
決戦―薄型テレビ最終戦争 寺山 正一 日経BP社 2005-11 |
テレビというメディアを馬鹿にしていたところもあるが、やはり影響力のあるメディアはこれしかない。薄型テレビの市場シェアが大きく変化していることは理解していたが、ソニー異変の理由がこの本でよくわかった。
ブラウン管から液晶パネル、プラズマパネルにこの2年くらいで入れ替わった感のあるテレビだが、誰もこれほど早くシフトするとは思っていなかったのだろう。2011年アナログ地上波打ち切りのころにテレビの買い替え需要のピークがくるという見方もあったし、デジタルチューナーが思うように普及しないので、アナログ地上波は打ち切れないという見方もある。しかし、既に1インチ5000円を切る価格帯に液晶パネルがなってきており、3年後に3000円くらいになれば、15インチの液晶デジタルテレビが5万円くらいになるかもしれない。
本書では、松下、シャープ、ソニーの薄型テレビ戦略がコンパクトにまとめられている。本書によれば、90年台松下が画王で最初に勝利し、96年以降ソニーがベガで平面テレビの競争に勝利したとなっている。私は、その辺の事情はほとんど記憶にない。なぜなら、91年ころにソニーの「キララバッソ」(本書によると最初の名前は画神だったらしい)を購入し、それを10年ほど使っていたからだ。それにしても、シャープの液晶テレビも松下のプラズマテレビも、執念の開発だった事情が本書で良くわかる。
これから、ソニーがサムスンの液晶パネルでどれだけ盛り返すかが焦点だろう。初めはシャープの液晶が一番良いと持っていた。しかし技術的にみると、松下が使っている日立の液晶も、ソニーのサムスンパネルもそれなりにいいらしい。後は店頭で自分の目で確かめなければわからない。作る側にとっては、歩留まりが一番関心事だが、使う側は表示品質と寿命だ。その情報はこの本ではわからない。
そろそろ買い換えようとする人への情報としては、32-37インチクラスであれば、液晶でシャープ、ソニー、松下を比較することになるだろう。それ以上のものでは、プラズマで松下ということなのだろう。
最後に一つ気になったのは、cellでテレビを作ろうとしたソニーの動きだ。今は封印されたようだが、何年か後に、ソニーあるいは東芝から登場することになるだろう。どんなものができるか楽しみではあるが。。
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