忙しいのに退化する人たち
デニス・ノルマーク
アナス・フォウ・イェンスン

典型的な日本人の反応
Amazonでこんな感想を見かけた。
「限られた勤務時間の中で一生懸命働いている人たちを馬鹿にしたような本。」
これは典型的な日本人の反応だと思う。しかし、私はこの感想にはまったく共感できない。
私が会社員だった頃、本書に書かれているような馬鹿げた仕事をたくさん目にしてきたからだ。
PseudoWork(偽仕事)
PseudoWork(偽仕事)。日本の企業で働く会社員もまた、偽仕事をしている。生活のために偽仕事をせざるを得ないが、仕事における達成感は味わえない。それが現実であると、私は確信している。
特に、インターネットとWindows95が普及し始めた1995年以降、オフィスワークは効率よくこなせるようになり、それに伴って大幅な人員削減が可能となった。
しかし、大企業では雇用を保証する関係から、簡単には解雇できない。基幹事業の生産性が向上すると、余剰人員を新規事業部門や間接業務部門に回すことになる。
特に問題となるのは、新規事業部門に配属された社員だ。大企業を志望する人間は、営業部門であれ開発部門であれ、安定志向が強く、新しい事業や製品を考えるのには向いていない。
そのため、成果を出すのは非常に難しく、成功するのはほんのわずかである。その際、ほとんどの社員がしているのは「偽仕事」である。成果が出ないことは分かっていても、一生懸命やっているというポーズを周囲に見せるため、無駄な会議、無駄な資料作成、無駄な調査を行い、長時間働く。それが、日本の会社員の実態なのである。
しかし、後で振り返ってみたとき、お金以外に何も残らなかったとしたら、どうだろうか?
やはり、偽仕事をしていたことを後悔するかもしれない。
「なぜ働くのか?」
「なぜ働くのか?」という問いに、次のような回答があるとしよう。
- 生存
- お金を稼ぐため
- 本質
- 適応
- 他者からの承認
- 自分自身の承認
- プロテスタントの労働倫理
- 他に選択肢がない
- 不安から身を守る
偽仕事からは、3番、4番、5番、6番あたりは得られないかもしれない。
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